December



11-12月開催  --------------------------------------------------------------------

藤井健仁展 Takehito Fujii Solo Exhibition

「New personification Vol.4   私たちのどこまでが鉄ではないのか」

11月9日(金)〜 12月23日(日)

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「突風」 2012
H626×W250×D234 mm 鉄
撮影:堀 勝志古



[作家ステーツメント]


鉄で人形を造っているだけ、と言えるかもしれない。けれど制作中に得られる直観の中では、その鉄と人形
の組み合わせは、実材彫刻に於いての素材とテーマの関係を超えた結びつきがあり、オールドスクールな制
作過程を経ながらも、何かで何かを表現すると云った間接的な事をしている様には思えないのだ。

近現代の環境は鉄の強度への信頼を前提とした想像力で成り立っている。戦争や都市は勿論だが、高い塔に
登り景観を楽しみ、軽装で車に乗ってデートすることもこうした想像力の延長線上にある。福島にて鉄製の
160ミリの圧力容器が溶融した途端、美術も含めた幾つかのイメージが変更、或はリアリティーを持ち得な
くなったということは、それまでこの鉄の強度が少なからずそれらイメージを支え担保していた為だと言え
る可能性がある。

だが鉄に由来する想像力はそこに留まるものではない。それがヒトの生命を維持しその血液を赤色たらしめ
尚且つ鉄鉱床として地球の質量のおよそ三分の一を占めるものでもあり、それは核融合を伴う地球生成以来
存在し、原初には総ての炭素生命の発生を触媒した事を勘案するならば、むしろ遠い過去から現在まで、そ
してミクロからマクロの領域に渡って、ヒトの来歴や存在は鉄の掌中にあるといってよく、我々のどこまで
が鉄と関わりが無いのかといった線引きは非常に不確かなものとなる。遠大な時間と膨大な質量を持つ鉄鉱
床に視点があるとするならば、そこからはヒトと鉄人形を隔てる要素はさほど多く数えられる事もなく、さ
して異なるものであるとは映らないのではないか。そして「我々こそが鉄から出来た人形なのではないのか」
といった妄想さえも生まれてくる。

2012年9月20  藤井健仁


藤井健仁展プレスリリース





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